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「行くとこまで行ったな」「ここまで来たか」キャスト陣も驚く! 「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」福山潤&本渡楓インタビュー

© 昼熊・KADOKAWA/「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」製作委員会


7月から始まったアニメ「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」は、タイトル通り交通事故に巻き込まれ、自動販売機として異世界に転生した青年が主人公の物語。今回は、月刊ニュータイプ9月号に掲載している自動販売機のハッコン役の福山潤さん、ラッミス役の本渡楓さんのインタビュー完全版をお届け。2人に本作や自身が演じるキャラクター、そして自動販売機にまつわる話までたっぷりと語ってもらった。

■ハッコン役・福山潤さんインタビュー

――作品の第一印象は?
福山 「行くとこまで行ったな」と思いました。オーディションの話を聞いたときは「誰が自動販売機役をやるんだろう」と気になっていましたが、まさか自分がすることになるとは……。僕のアニメデビューはダークエルフ役でしたが、その次が黒板消しと玄関ドアだったんです。覚えている限り、たぶんAI以外の無機物を演じるのはそれ以来で20数年ぶりです。
――ご自身のキャラクターをどのようにとらえて演じましたか。
福山 「いらっしゃいませ」みたいな定型文を除いてハッコンは喋れないので、せりふはモノローグだけなんですよね。そこは元々の人間の時の人格である、普通の自動販売機好きの青年だと意識しています。「自動販売機好きの青年」って何だって感じですけど(笑)。ただ人間時の名前や人格もわからないし、芝居の中心である異世界の人々の印象を損なわないよう、変にキャラクター付けせず、プレーンな演技を心がけました。


© 昼熊・KADOKAWA/「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」製作委員会


――演じるうえで大変だったことは?
福山 定型文は何回もリテイクして時間がかかりました。電子音っぽくし過ぎても、生声っぽくし過ぎても変ですし。作品内で何回も使い回すし、組み合わせて使ったりもするものなので、どんな塩梅にすればいいのか、僕もそうですけどそれ以上に監督たちが悩んでいました。第1話のタイミングでディスカッションしながら収録して、正解がわからないから最終的には何パターンか録って監督たちに判断を任せることになったんですけど、それでも「やっぱり合わない」となって、後日また録り直したくらいです。
――ラッミス役の本渡さんの印象はいかがですか?
福山 ほかのキャストさんもそうですが、特にハッコンとよく会話することになる本渡さんは大変だったと思いますよ。僕からすれば会話の相手は普通に返してくれるのでコミュニケーションは成立しています。でも本渡さんからすると何かを投げかけても返ってくるものとして扱えるのは定型文だけだし、ハッコンのモノローグは収録中の本渡さんには聞こえるけど無視しなきゃいけない。「本当に難しいことをしているな」と思いながら掛け合いをしていました。
――そのラッミスを始め、本作のキャラクターは変わった名前が多いですね。
福山 ハッコン以外は言いづらいんですよ。読者の皆さんに、ぜひキャラクター名を音読してほしいです。ラッミスにヒュールミ、ケリオイル……あと敵の蛙人魔(かわづじんま)。いろんなファンタジーものに触れてきているせいか、「魔人」という字のほうが見慣れていて「かえるまじん」と言いそうになるんですよ。そんな風に馴染みのあるものと違う名前ばかりで。でもそれが、本作のぶっ飛んだ設定の中にある、ちゃんとしたファンタジーらしさのように感じます。


© 昼熊・KADOKAWA/「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」製作委員会


――収録現場で印象に残った出来事があれば教えてください。
福山 この作品は長期に亘って収録できたのがよかったです。毎週収録ではなく、月に1本とか2本といったペースでした。だから1クール作品ではあるけど、長い期間で関われて、その分ハッコンというキャラクターを咀嚼する時間があったんです。自動販売機という特殊な役だっただけに、僕にとってはありがたかったです。
――ちなみに福山さんが自動販売機でよく買う商品は?
福山 温かいドリンクです。昔からそうで、夏も基本は温かいものしか買いません。冷たいものは本当に暑い時だけ。でも夏になると冷たいドリンクばかりに売られるようになるじゃないですか。だから夏でも温かいドリンクを売っている自動販売機は見かけたら覚えているし、必ず買うと決めています。
――相当なこだわりですね。ハッコン役に福山さんは最適だったのでは。
福山 だとしたらうれしいですけど(笑)。そう言えばこの作品の収録スタジオは年中温かいドリンクを置いている自動販売機がありました。夏になってもブラックコーヒーとミルクティー、あとお茶とコーンスープがあってありがたかったですね。しかもスタジオの周辺には冷凍もつ鍋とか、あと生肉の自動販売機もあったんですよ。ほら(スマホで写真を見せながら)。
――ありがとうございます。では、最後に読者へのメッセージをお願いします。
福山 今後、ハッコンがバトルですごく活躍する回がありますが、演じていて往年のロボットアニメを見ているときのような高揚感がありました。僕の勝手な野望ですが、皆さんの応援があればハッコンがゲーム『スーパーロボット大戦』に出られるかもしれません(笑)。そんな馬鹿な妄想もできるし、力を抜いて見られるし、コミュニケーションについても考えられる。そんなアニメなので、ぜひ続きも楽しみにしてください。


© 昼熊・KADOKAWA/「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」製作委員会


■ラッミス役・本渡楓さんインタビュー

――作品の第一印象は?
本渡 「ここまで来たか」という(笑)。転生ものは多く、転生先もいろいろありますが、まさか無機物に転生するとは……想像したこともなかったです。オーディション時に原作を読ませていただいたのですが、自動販売機という存在を掘り下げて、上手に異世界で渡り歩いていておもしろい。「これは落ちたら悔しいな、この出会いはものにしたいな」なんて思っちゃいました。ラッミスを演じた今は、自動販売機を見る目が変わって珍しいものが買える自動販売機を見かけるとテンションが上がるようになっています。
――ご自身のキャラクターをどのようにとらえて演じましたか。
本渡 ラッミスは、パワフルだけど攻撃を当てられず力を活用できないことに悩んでいる女の子です。ただ、彼女は人のことをちゃんと考えられる人です。見たこともない自動販売機と出会ったときにもすぐに理解して、自分が背負って移動させてあげるような優しさもありますし。


© 昼熊・KADOKAWA/「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」製作委員会


――演じるうえで大変だったことは?
本渡 ラッミスがすごくテンションが上がった時に出る関西弁のようなことばです。私は愛知県出身なので関西の近くではあるものの上手くできず、キャストさんやスタッフさんで関西弁を喋れる方にイントネーションを教わったり、正しいか確認したりしてもらいながら頑張りました。異世界が舞台なので正確には関西弁ではないんですけど(笑)。
――ハッコン役の福山さんの印象はいかがですか?
本渡 原作や脚本を読んで「どんな声や芝居で来るんだろう」と楽しみにしていましたが、めちゃくちゃぴったりで驚きました。「自動販売機ってこんな感じなんだ、これが正解なんだ」と思いながら聞いていました。でもラッミスはハッコンのモノローグが聞こえない設定なので、そこで話されていることに反応しちゃいけないんです。あれは最後まで慣れなかったなあ(笑)。しかも福山さんは、特にテスト時にダジャレやアドリブを入れられることも多くって。それに対して笑うのはもちろん、何も反応しちゃいけない。あの遊び方はズルいですね……(笑)。


© 昼熊・KADOKAWA/「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」製作委員会


――ラッミスを始め、本作のキャラクターは変わった名前が多いですね。
本渡 第1話の収録時に、福山さんともその話をしました。ラッミスだと「ラ」のあとに「ッ」が来て「ミス」と発声が難しい。ハッコン以外はそんな難しい名前ばかりで「さすが異世界だな」と感じました。
――収録現場で印象に残った出来事があれば教えてください。
本渡 やっぱり自動販売機の話で盛り上がりました。幅広い世代のキャストさんがいらっしゃったので、「こういうのあるよね」「見たことがない」みたいな感じで。あと「この駅にはこんな自動販売機がある」といった情報交換もしていました。私は数年前に都心で納豆の自動販売機を見かけたんですけど、その時は買わなかったので話のネタにできなくて。今となっては少し悔いになっています(笑)。
――ちなみに本渡さんが自動販売機でよく買う商品は?
本渡 よく駅で見かけるんですが、蓋を開けても付いたままになっているペットボトルのドリンクです。私、おっちょこちょいなところがあってよく物を落とすので、蓋が付いたままなのはすごく助かります。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
本渡 これまでの5話でもすでにいろんな事件というか、ハッコンにとって初めての出来事が山ほどありました。その度にハッコンは自動販売機としていろんな工夫をして切り抜けてきましたが、ここから先も新しい出会いだったり、さらなる強敵との戦いがあります。そんなときにハッコンはどう立ち向かうか、どんな自動販売機が出るのか楽しみにしてほしいです。そして彼を背負うラッミスにも注目してほしいです。最初はみんなの力になりたくて思い悩んでいましたが、ハッコンのバディとして精神的に成長し、頼もしくなっていくので温かく見守ってください。

【取材・文:はるのおと】

■「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」
放送:TOKYO MX…毎週水曜22:00~
BS日テレ…毎週水曜24:30~ 
AT-X…毎週水曜 22:00~(※リピート放送:毎週(金)10:00~、毎週(火)16:00~)
配信:dアニメストア、DMM TV 毎週水曜22:00~ ほか

スタッフ:原作…昼熊「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」(角川スニーカー文庫/KADOKAWA)/監督…秋田谷典昭/シリーズ構成…髙橋龍也/キャラクター原案…憂姫はぐれ/キャラクターデザイン…酒井孝裕/モンスターデザイン…あきづきりょう/副監督…高橋雅之/アニメーション制作…Studio五組xAXsiZ

キャスト:ハッコン…福山潤/ラッミス…本渡楓/ヒュールミ…青木志貴/シュイ…富田美憂/ケリオイル…中井和哉/フィルミナ…茅野愛衣/熊会長…宮内敦士/赤…山下大輝/白…榎木淳弥/ミシュエル…江口拓也

リンク:「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」公式サイト
    公式Twitter・@jihanki_anime

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