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「第十九回 声優アワード」新人声優賞・石橋陽彩インタビュー 「お芝居に対しての価値観や気持ちが大きく変わった1年」

2025年3月15日、2024年度に最も活躍した声優を讃える「第十九回 声優アワード」の受賞者が発表されました。本稿では、新人声優賞を受賞した石橋陽彩さんのオフィシャルインタビューをお届けします。



――新人声優賞受賞おめでとうございます。受賞を知ったときのお気持ちは?
石橋 会社でサプライズをしてもらったんです。マネージャーさんたちに呼ばれて行ったら、スタッフの皆さんがカメラを構えていて(笑)。状況が把握できずにいたら目の前にくす玉があって、割ると「新人賞おめでとう」と書かれていて、なかなか事態を飲み込めず「これは夢なのか?」と思いました。

――2024年はどのような1年でしたか?
石橋 自分のなかで今まで経験してきたことが生かせた1年だったと思います。お仕事の重きを声優業に置くと決めたのが、高校を卒業した2023年でした。そこからたくさんのオーディションを受け、自分のなかでも研究を重ねて、声優というお仕事の難しさを実感してきました。そうやって学んできたことを少しでも生かすことができたのかなと思います。

――主演を務めた「シンカリオン チェンジ ザ ワールド」について、お話を聞かせてください。
石橋 出演が決まったときは、ここが自分の正念場、これを乗り越えられるかどうかで、今後の声優人生か決まるだろうと思ったんです。1年間という長い期間放送される作品だし、原作がないので世界観やキャラクターを自分でつかまなければいけないし、いろいろな面で難しさを感じていました。でもその分、得たものも大きくて、第1話と最終話では演じ方が違うんじゃないかというくらい変化があり、お芝居に対しての価値観や気持ちが大きく変わっていきました。

――お芝居に対しての価値観が変わったという点を、詳しくお話しいただけますか?
石橋 演じるだけがお芝居じゃないと感じたんです。キャラクターがそこで生活しているような人間味を、自分の経験から表現するというか……キャラクターの生々しさや熱量を、より自然なニュアンスで表現するにはどうすればいいかと、自分のなかで追求するようになりました。

――アカツキレッドを演じた「休日のわるものさん」の思い出を教えてください。
石橋 アフレコがコロナ禍だったので、分散収録だったんです。そんななかでもわるものさん役の浅沼(晋太郎)さんとご一緒することが多く、浅沼さんのオンとオフのお芝居のすごさを背中を見ながら感じていました。休日の場面は浅沼さん自身もリラックスした雰囲気なんですけど、わるものさんになった瞬間、スタジオ全体に覇気のある低音が広がるんです。それを直で感じると、「僕はこの人と戦わなきゃいけないんだ」と、レッドとして身の引き締まる思いがしました。浅沼さんと一緒に演じることができたお陰で、レッドの臨場感や誠実さがお芝居として表現できたのではないかと思います。



――そもそも高校卒業時に声優を目指された理由は何だったんでしょう?
石橋 もともと僕は、小さい頃から歌って踊れるアーティストを目標にしていたんです。そこから、ありがたいことに声のお芝居をする機会をいただいて、高校生のときに「遊☆戯☆王SEVENS」に出演させてもらい、卒業する頃に「休日のわるものさん」への出演が決まって、どんどんお芝居が楽しいと思うようになっていきました。僕は自分の思いを言葉にするのが苦手なので……だからこのインタビューもとても緊張しているんですけど(笑)、歌はもちろんなんですが、お芝居を通して思いを伝えられることがとても楽しいし、生き甲斐になっているのを感じたんです。それで、こんなに楽しくてもっとやりたいなら、ちゃんと「声優」として頑張ろうと思ったんです。

――小さい頃からの夢に一途に進んでらっしゃいますが、挫けそうになったことはないのですか?
石橋 変声期の時期は、この仕事をやっていけるのだろうかと気持ちが落ちたことがありました。声が思うように出ず、当たり前のようにできていたお芝居ができなかったり、歌が歌えないというのは不安だったし、自分自身に苛立ったりしました。でも、そんなときもスタッフやファンの皆さんが支えてくれたからこそ、今の自分があると思っています。挫けそうになったときは、応援してくださる方々の顔を思い浮かべながら、「自分ならできる!」と気持ちを変えて乗り越えてきました。

――ファンの方々へメッセージを。
石橋 人生で一度しかない新人声優賞をいただけたのは、支えてくださったスタッフやファンの皆さん、すてきな作品を作ってくださった制作の皆さんなど、たくさんの方々のお力のお陰です。これに満足するのではなく、この賞に恥じないよう、もっともっと高みへ登っていけるよう、お芝居に向き合っていけたらと思っています。これからも応援をよろしくお願いします。



【撮影:田上富実子/取材・文:垳田はるよ】

■第十九回 声優アワード 受賞者及び受賞作品
主演声優賞=岡咲美保、関俊彦
助演声優賞=木内秀信、瀬戸麻沙美、東地宏樹、日笠陽子
新人声優賞=石橋陽彩、鵜澤正太郎、七海ひろき、はやしりか、結川あさき
歌唱賞=ブレイバーン(CV:鈴村健一)
パーソナリティ賞=該当者なし
外国映画・ドラマ賞=内田真礼、ファイルーズあい
ゲーム賞=「龍が如く8」
シナジー賞=「機動戦士ガンダムSEED」シリーズ
富山敬・高橋和枝賞=保志総一朗、山崎和佳奈
キッズファミリー賞=羽多野渉
インフルエンサー賞=木村昴
MVS=中村悠一
功労賞=岡本茉利、野田圭一
特別功労賞=今回は、特別功労賞に代えて、本年度ご逝去された声優を顕彰しました
特別賞=「ルックバック」

リンク:「声優アワード」公式サイト
    「声優アワード」公式X(Twitter)・@seiyuawards

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