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主人公・ユージンとして「OPUS:Prism Peak」に寄り添った三木眞一郎さんが、本ゲームの開発元であるSIGONO INC.を訪ね、台北へ!
SIGONO代表を務めるブライアン・リーさんとのスペシャルな対談を敢行。つくり手同士が通わせる、心の交流をとくとご覧あれ。
※本記事は月刊ニュータイプ2026年6月号の記事を再掲載したものです
提供:集英社ゲームス
©SIGONO INC. / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES
彼のカメラは失くしてしまったものを写す――。久々に故郷に向かっていた元・写真家のユージンは、不思議な世界「ボウの地」で記憶をなくした少女と出会う。2人はこの土地で現実世界への帰路を探す旅を始める。「OPUS: Prism Peak」はあちこちに神霊が潜む不思議な世界をめぐるアドベンチャーゲーム。主人公のユージンは一度はあきらめてしまったカメラを再び握り、この「ボウの地」をめぐる。そこには動物の姿をした神霊たちがいた。記憶を失い透明になった「神霊」たちを、ユージンはカメラで撮影して実体化させていく。実体化した神霊たちと交流し、たどり着いた場所とは?
心の交流を描く「OPUS」シリーズを手がけてきたインディーゲームスタジオ・SIGONO.INCの最新作は、エモーショナルな心のアドベンチャー。疲れはて、失意に沈む中年男性が自分の足で立ち上がるまでを描く、再生の物語。きっとプレイヤーの記憶を刺激する経験になるだろう。
©SIGONO INC. / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES
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――ブライアンさんにおうかがいします。新作「OPUS:Prism Peak」はどんなゲームなのでしょうか?
ブライアン 今回の「OPUS:Prism Peak」の主人公は、失意に陥った大人の男性です。たくさんの挫折や無念を味わった主人公が、その失ったものと向かい合っていく。その残された思いや記憶をとらえるために使うものがカメラなんです。世の中は無常で移りゆくものだと思うのですが、カメラというものを使うことで、その一瞬の時間をとらえていくことができる。撮影というものは、そうやって時間を切り取るアートだと考えていて、それを今回の作品で表現することができたらと思っていました。
――カメラがひとつのキーアイテムになっているんですね。三木さんもブライアンさんもプライベートやお仕事でカメラを使う機会もあると思います。カメラという撮影道具のどんなところにおもしろさや魅力を感じていらっしゃいますか?
三木 仕事で撮影していただくこともありますし、プライベートでもpadで撮影することもよくあります。今回は「対談」という形で写真を撮っていただいていますが、基本的には素の姿を撮影されるのはすごく苦手なんですよね。自分は基本的に役者であり声優なので、撮影というものは本業の部分が見えにくい媒体なんですよね。であるならば、撮影の時は自分なりに役を想像して、シチュエーションをふくめて撮ってもらうようにしています。
ブライアン カメラを通して世界を見ることで、リアルでありながらもリアルにはなりきらない世界が描くことができます。プレイヤーのみなさんには、カメラのレンズを通して、ピントを合わせたり、写真を撮ったりして能動的にこの世界を探索していただいて、世界の本質を捉えていただきたいなと思っています。
三木 そうですよね。カメラで撮る時間は「現在」で、シャッターを切ると今の気持ちを捉えることができるし、今の風景も抑えることができる。でも、写真を見るときに写っているものは「過去」なんですよね。写真からはいろいろなものが見えてくるものだと思いますね。
三木眞一郎
――主人公のユージン役に三木さんをキャスティングされたきっかけ、理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?
ブライアン 主人公ユージンをリアルな人間として描きたいと思っていたんです。彼の人生には挫折があって、どん底も味わっている。だけど、どこか憎めなくて温かみがあって、不完全だけれど深みがあるリアルな中年男性をゲームの中に再現したいと考えていました。三木さんの役者としてのキャリアを拝見して、その声を聞いたときに、そういう人生の重みを体現してくださるんじゃないかと強く感じました。過去に無念や苦痛、辛酸も味わっていながらも、温かみがある男性を三木さんが演じてくださることで、プレイヤーたちがきっと彼を助けてあげたいと思える、そして深く感情移入できるだろうと。そういう表現ができるのは三木さんしかいない。そう思ってオファーさせていただきました。
三木 ありがとうございます。彼には彼の人生があって、僕は彼の声として、彼の思いを代弁するために呼ばれました。そういう条件はどの仕事も同じなのですが、その彼の声を成立させるためには彼に寄り添うことが一番大事だと思っています。ユージンは自分が住んでいた故郷が土地開発でなくなってしまったり、仕事がうまくいかなかったりと自分とは100%同じではないけれど、自分にも似たような経験があるのでそれを引っ張り出してきて。彼の心のありようを能動的に共有しようと思っていました。
ブライアン 三木さんがユージンに魂を吹き込んでくださって、声だけでなく息遣いや細やかな仕草も感じることができて大きなインスピレーションを受けました。ユージンというキャラクターをより生き生きとさせるためのヒントをたくさんいただいたと思っています。三木さんのお芝居にあわせて、3Dのアニメーションもいろいろと調整をさせていただきました。実は三木さんがユージンを演じてくださったことでアイデアが湧いてきて、あるシーンを新たに追加しました。
三木 うれしいです。
――収録はいかがでしたか?
三木 ええっと……収録は地獄でした(笑)。彼(ユージン)は忘れるのではなくて、心にふたをすることで生きているような人だと思ったんです。そんなときに無邪気な女の子が現われて、ユージンは自分自身と向き合うことになる。その女の子を助けられるのはユージンしかいない。そのためには彼は閉じていた蓋をひとつひとつ開けていかなくちゃいけないんです。そうやって自分自身と向かい合っていく彼のことを考えると感極まってしまいそうになるんですよね。僕もいい年ですし、やっぱり自分も自分の過去を振り返ると、申し訳ないことをしたなと思うような出来事があったり、傷つけちゃったなと思う人もいるわけで。そういう蓋をしていた記憶を自分の中から引っ張り出しながら、彼の声帯としてしゃべっていったんです。そういう収録をしたら……そりゃ収録が終わった後にタクシーのなかで缶チューハイくらい飲みたくなりますよね(笑)。
ブライアン ありがとうございます。お疲れさまでした。
ブライアン・リー
――「OPUS」シリーズを手がけるゲーム開発スタジオ・SIGONO.INCはどんなスタジオなのでしょうか?
ブライアン SIGONO.INCがこれまでつくってきた作品はナラティブなアドベンチャーゲームが主体となっています。SIGONO.INCの立ち上げからのコアメンバーはみんな物語を語ったり、伝えるということが好きで、そこにこだわりがあるからなんです。ゲームはプレイヤーが実際にゲームの世界に入って、ゲームのキャラクターになりきって物語を体験できるというインタラクティブな媒体です。そういうゲームを通して、プレイヤーの心に響く物語を味わってもらいたいという思いがあって。人生とは何なのかを考えるきっかけになればと考えながら、ゲームの開発を進めています。
――最後に、いま三木さんは台北のSIGONO.INCの開発スタジオにお越しになっているそうですね。SIGONO.INCのようすをお聞かせください。
三木 まず台北は街の雰囲気がすごくすてきですね。歴史を感じさせる建物だけでなく、新しい建物もあって。そういう町の風景がとても美しかったです。今は台北のSIGONO.INCさんにお邪魔して、取材を受けているわけですが、スタジオのなかは静かではあるけれど、空気の密度のようなものが感じられて。スタッフの皆さんの熱量が充満しているような感じがあります。思いというものがモノづくりには重要だと思っていて、それは人数や規模の大きさに関係がなくて、大事なのは思いの強さだと思っています。それはお芝居もゲームづくりもかわらないですよね。スタジオのドアのところにイメージボードや絵コンテが張ってあって、そういう開発資料を見ることができたのも嬉しかったですね。僕はもともとアニメマニアだったから、ああいうものに目がないんです。そういうところもあわせて、皆さんの思いが詰まっている空間だなと思っています。
ブライアン ふだんは役者さんは収録スタジオに来ていただいてすべての収録をすることで完結してしまうのですが、今回のように三木さんに台北に足を運んでいただいたことは本当に喜ばしく、光栄なことであります。
三木 こちらこそです。ありがとうございます。今回、こうやってスタジオにお邪魔できたことで、商品を分業でつくるのではなくて、作品づくりにいっしょに参加させていただいた実感を抱かせていただきました。僕はいつもアフレコをするときに120%の力で臨ませていただいているのですが、そのアフレコが終わったあとに、こんな場を設けてくださったことに感謝いたしますし、ここでの経験を日本に持ち帰ることで、僕からプレイヤーの皆さんへ何かを伝えることができるんじゃないかと思っているので。今日ここで終わりではなく、ここから始まるものもあるんじゃないか。そういう場になっているんじゃないかなと思っています。
©SIGONO INC. / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES
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【取材・文:志田英邦】
■「OPUS: Prism Peak」
●Nintendo Switch(TM)、Nintendo Switch(TM)2、STEAM(R)で発売中
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Nintendo Switchのロゴ・ Nintendo Switchは任天堂の商標です。
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リンク:OPUS: Prism Peak 公式サイト https://opuspp.shueisha-games.com/
集英社ゲームズ公式X(Twitter)・@ShueishaGamesON https://x.com/ShueishaGamesON