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現在、好評放送中のTVアニメ「盾の勇者の成り上がり」。その放送を記念して、スタッフ&キャストによるリレー連載をお届けします。
第7回は、2度目の登場となる田村淳一郎プロデューサーにお話をうかがいました。前編では、放送後に寄せられた国内外の反応やその手応えについて語ってもらったほか、起伏にとんだ物語序盤の展開について振り返っていただきます。
――第8話までが放送されましたが、国内外のファンの反応について田村プロデューサーはどのような実感をお持ちですか?
田村 まず国内ですが、配信サイトの視聴数がかなり伸びているとのことで、多くの方に見ていただけているのだなという手応えを感じています。海外では放送前から北米での期待値が高く、実際にそれを裏付けるかのように盛り上がっていると聞き、安心しました。もうひとつ嬉しかったのが、中国の配信サイトでも視聴数が想像以上に伸びていることですね。
――日本を含む、世界中で受け入れられているわけですね。どんなところが世界中のアニメファンに刺さったのだと考えていますか?
田村 ひとつは裏切り、転落という絶望的な状況に陥ったにもかかわらず、逆境をものともせずに這い上がろうとする尚文のキャラクター性と作品が持つドラマ性ですね。もうひとつは、ラフタリアとフィーロという魅力的なキャラクターが登場し、ハーレムではなく家族に近い関係値を築いているところ。私自身も、三人を温かく見守れる関係性がいいなと感じています。
――ドラマについては尚文に感情移入してご覧になっている方が多い印象です。
田村 そうですね。アニメで初めてこの作品に触れたという方の反応を見ると「なぜ尚文は国中からあんなに迫害されるのか」「あまりに理不尽すぎないか」と、尚文と一緒に混乱し、尚文に共感しながら視聴されている方が多いようです。ある意味、狙い通りの反応をいただけたかな、と。序盤は心が苦しくなるシビアな展開でしたが、作り方として間違いではなかったとホッとしています。尚文がなぜ迫害されるのかという謎に満ちた部分については、物語を追っていけばちゃんとわかるようにしていますので、ぜひ最後まで楽しんでいただきたいですね。
――尚文、ラフタリア、フィーロの関係性について、当初から恋愛的な要素よりも家族的な繋がりを重視する方向性を考えていたのでしょうか。
田村 原作も特に前半は尚文たちを恋愛関係ではなく家族として描いているので、そこは大事にしたいと考えていました。ただ、少し心配だったのはフィーロが登場したあとの第6、7話ですね。
――第6話はフィーロの服を手に入れるというミッションがあり、第7話は温泉回でした。
田村 シリアス展開からほのぼの展開へ雰囲気がガラリと変わるので、どんな反応をいただけるのか気になったのですが、思った以上に楽しんでいただけたようでひと安心でした。ここがシリーズを通して一番のほのぼのポイントなんです。先日放送した第8話以降はまたシリアスな方向へ向かっていきます。
――第7話は、三人の信頼関係がより深まったエピソードですよね。
田村 第8話でフィーロがドラゴンゾンビに食べられてしまいますが、そこへのタメとして関係性を深めておきたいという狙いがありました。三人がパーティという形の上だけでなく、精神的なところで繋がっていく。第6、7話にはそんな裏テーマがありました。改めて第6、7話を振り返っていただくと、ここで三人が強く結ばれ、次の戦いに繋がっていくことがわかるはずです。
――尚文がますますお父さんっぽくなっていたのが面白かったです。
田村 娘たちからプレゼントをもらって、ちょっと嬉しそうなお父さんみたいでしたよね。フィーロに嫉妬するラフタリアがかわいいという感想も多くて(笑)、尚文との関係性の中でそれぞれの魅力を引き立てられたかなと思います。
――ほのぼのした話数の演出で気を遣ったポイントなどはありますか?
田村 尚文の性格がブレてしまわないように、ラフタリア以外の人間は相変わらず信用していないところや、「同情するなら金をくれ」じゃないですが、何に対しても対価を求めるところは一貫させたいと考えていました。フィーロというコメディリリーフ的なキャラクターが登場すると、尚文が振り回されて自然と面白くなるので、変に味付けする必要はないんです。それよりもシリアスな展開に戻ったときに違和感がないよう、キャラクターの核となる部分をブレずに描くことのほうが大事だと考えました。
――想像以上に反応が大きかったことなどはありますか?
田村 ラフタリアの評判は想像以上でしたね。フィーロの存在がキャッチーなので、最初はフィーロが登場したら人気をすべて奪っていくのではないかと考えていたのですが(笑)。フィーロの人気はもちろんありつつ、ラフタリアがそれ以上に受け入れられたことに驚きました。どの国のファンにも気に入られていて、やはりあの健気さは万国共通の魅力なのかな、と。
――ラフタリアは成長してより魅力が増しましたよね。
田村 もちろん幼少時のラフタリアも魅力的なのですが、幼児から大人になって尚文との関係性が変化したのがかえってよかったという感想をいただきます。確かに、良妻感がありますよね(笑)。
――そして3月27日には、サウンドトラックの「盾の勇者の成り上がり オリジナル・サウンドトラック “Dusk”」がリリースされます。Kevin Penkinさんがつくる劇伴はどれも素晴らしいですね。
田村 70曲弱つくっていただきました。2クールとはいえ、かなりの曲数ですね。本当にどの曲もKevinさんのセンスが溢れていて。一番すごいなと思ったのは、第8話でカースシリーズが解放されたときのBGMですね。
――コーラスが入っていた曲ですね。
田村 気付いた方もいるかと思いますが、あの曲、実はひたすら「盾の勇者の成り上がり」と歌っているんです。
――英語タイトルを読み上げることはあるかと思いますが、日本語タイトルをそのまま歌い上げるBGMって、なかなかないですよね。
田村 Kevinさんならではのセンスですね。日本の作曲家さんだったら普通は躊躇してしまうと思います(笑)。このあとの話数でも、この曲が出てくるのでぜひ注目していただきたいですね。
――サウンドトラックには、第4話でラフタリア役の瀬戸麻沙美さんが歌った「Falling Through Starlight」も収録されるそうですね。
田村 瀬戸さんの歌声も素晴らしかったです。言うまでもないですが、本当に歌がお上手で。
――最初から英語の歌詞で歌うことが決まっていたんですか?
田村 そうですね。海外配信版は海外のアーティストさんが歌っていて、最初にレコーディングしたのも海外版のほうだったんです。それを瀬戸さんに聴いてもらいながら、日本用にレコーディングしていただきました。
――インタビューでは入念に準備されたとおっしゃっていました。
田村 難しい歌ですからね。でも、瀬戸さんの歌を聴いて、英語をネイティブに喋れる方なんだと勘違いしてしまうほど英語も歌もお上手だったので驚きました。
――さて、第9話では新たなヒロイン・メルティが登場します。彼女の魅力を教えていただけますでしょうか?
田村 メルティはまだ幼いにもかかわらず、自分自身が置かれた立場をちゃんと理解している責任感のある女の子です。とにかく真面目な女の子で、尚文たちに対しても最初は他人行儀なのですが、少しずつ心を開いて素直になっていくところがかわいらしいので、ぜひその変化を楽しんでいただきたいですね。特にフィーロと仲良くなっていくので、その掛け合いも楽しみにしていてください。
――メルティを演じる内田真礼さんにお芝居についてはいかがでしたか?
田村 内田さんはメルティの高貴さ、芯の強さ、そして等身大の子どもっぽさをしっかり掴んで演じてくださっています。いろんな表情を見せてくれるので、そのギャップを楽しんでいただけるのではないかと思います。
【取材・文:岩倉大輔】