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EXILE、EXILE THE SECONDのメンバーとして活躍するEXILE SHOKICHIさんは、実は肉マニアだった! 肉の店を500店以上食べ歩き、北海道ボールパークFビレッジでミート(肉)ファストフード店「Yagien Ballpark」をプロデュース、肉牛「八将牛」を生産者として育てるなど、食肉の世界にどっぷりと漬かっていたのです。
そんなEXILE SHOKICHIさんに肉の魅力をたっぷりと語っていただきました。前編は「肉との出会い」と「最新の焼肉情報の入手方法」についてうかがいます。
発売記念サイン本お渡し会にて
――EXILE SHOKICHIさんがおつくりになった「肉主義」拝読しました。「焼肉というシナリオのないドラマ」「YAGIシェフ(SHOKICHI)が本格肉料理でおもてなし」『「焼肉にワイン」という主義(イズム)』「SHOKICHI meets 肉を愛するレジェンドたち」……焼肉店は「管理、カット、タレ、雰囲気、焼き」といった五つのエレメントで決まることや肉料理のレシピ、理想の和牛の育成から北海道ボールパークFビレッジで「Yagien Ballpark」のプロデュースまで、SHOKICHIさんの肉への思いがあふれる一冊でした。この本を読むと、焼肉の奥深さがわかりますね!
SHOKICHI 深い。奥深いですよねえ。肉の世界は本当に奥深いんです。
――SHOKICHIさんが肉にハマったのは何がきっかけだったのでしょうか。
SHOKICHI バチーンと衝撃を受けたのは、生産者を知ってからですね。
――生産者、肉牛を育てる生産農家の方々ですね。
SHOKICHI 生産者にはそれぞれアイデンティティがあって、肉牛の育て方やめざしている理想の牛の姿がそれぞれ違うんです。肉に含まれる脂の量だったり、牛を健康に育てることであったり、牛の餌の選び方、育て方……ひとつひとつがそれぞれ違う。それを知ったときに、肉ってこんなにも多様性があるんだって。これは堀りがいがあるなって思いましたね。掘っても、掘っても、まだ掘れる。まさにシャベルが底に着かない深さだなって。
――シャベルが底に着かない!
SHOKICHI ずっと掘りつづけられるんです。肉っておもしろいなって感じました。
――「肉主義」にも書かれていますが、SHOKICHIさんが焼肉と出会ったのは札幌で暮らしはじめたとき。焼肉屋でバイトを始めたときに、和牛の美味しさに目覚めたそうですね。
SHOKICHI そうですね。肉の価値を表現することばに「A5ランク」っていう言い方がありますよね。あれは大雑把にいうと、肉の脂の割合を表わしているんですけど、あのことばがちょうど出始めた時期に、僕は焼肉屋でバイトを始めたんです。そこでお肉をいただいて、肉のおいしさを知って。肉の洗いやさばき、仕入れなどを教えてもらったんですよ。そうしていくうちに、だんだん肉だけでなく、その周りのいろいろな要素が肉の味やおいしさにつながっていくことがわかってきた。肉の選び方、タレの味付け、焼き方、墨……。たとえば、肉牛を育てている生産者の方々は、「A5ランク」の肉のために肉に脂を入れるための育て方をしているんですよね。そうやってだんだん肉の味がどのようにつくられているのかがわかってきたんです。
――肉の味は、お店だけでなく、肉牛そのものも大事。肉そのものを見るのではなく、それにまつわる人々、業界、生産者の方々を大局的に見ることで肉の味がわかってきた。
SHOKICHI そうなんです。そこから数年経って、「A5ランク」という価値観も変わってきました。最近は「A5」の肉ってちょっと重いよなって、脂が多いよなっていう意見が増えてきた。そうすると生産者の方々が、今度は牛を健康に育てて、サシの細かい、肉質のよさを追求する肉が増えてきたんです。同時に調理法も変わってきて、肉をエイジング(熟成)させたり、いろいろな技術と手法が込められるようになってきた。実際最近は、肉の生産者の名前を出したお店が増えてきましたよね。SDGsのサステナブルな肉の在り方が求められてきた。そうやって、時代に合わせて肉のおいしさ、価値観って変わっていくんです。まさにヨットのマストに風が集まって、ギュインと船の向きが変わる感じ。
――時系列の変化。時代の流れも大事なんですね。
SHOKICHI 生産者がまず牛の育て方を変えてみようと思っても、その効果が実際に出るのは1世代だけで結果が出るものじゃない。2世代、3世代以降の話なので。とてつもない労力と根気、そして、愛がないとね、ダメなんですよ。それを見させていただいて、すごい労力だなと、すごい仕事だなと。感動しましたね。
発売記念サイン本お渡し会にて
――SHOKICHIさんはいまや北海道の牧場で「八将牛」を育てている生産者のおひとりです。生産者の視点からご覧になると、やっぱり肉に対する見方も変わりますか。
SHOKICHI 実際にやってみると、さらに奥深いことがわかるんです。勉強をしているんですが、本を一冊読んでもまだ足りない。次々と扉が出てきて、それを開けていくみたいな感覚があります。
――たとえば、どんな奥深さを感じていますか。
SHOKICHI 血統というのもあるんですよ。血統によって、肉牛の餌の食べ方、胃袋の強さ、体の頑丈さ、DNAが違うんです。僕が育てている「八将牛」は但馬血統なんですが、但馬牛はほかの牛と違うところがたくさんある。生産者は肉牛と向かい合わないといけないんだなと痛感することばかりです。
――「八将牛」を育てるにあたって、但馬牛を選ばれた理由が「肉主義」には書かれていましたが、その書き方がすばらしかったです。『~脂の融点が低いので、口に入れると、あっという間にスーッと雪のように溶けてしまう。(中略)但馬牛を食べた後に宇宙人に記憶を消されたとしたら、肉を食べたことを全く思い出せなくなると思えるぐらい「最強の肉」だ』と(本書P105)。そんなにすごい肉なんですか!
SHOKICHI ははは(笑)。そうなんですよ。食べたときに本当に心からそう思ったんですよ!
――『一生に食べられる食事の数なんてたかが知れている。「一食でも無駄にしたくない!」』(本書P24)というSHOKICHIさんの肉や牛への愛が、文章から感じられるなと思いました。ほかにもこの本では「SHOKICHIが選ぶ最強の焼肉店100」というお店紹介もあって。その情報量の濃さにも驚きました。
SHOKICHI いろんな焼肉店を紹介したいと思ったんです。今の肉のトレンドをちゃんと踏まえたお店はもちろんのこと、値段が安くてガツガツ食べられるような町焼肉屋も紹介しています。やっぱりね、安さって大事なことだと思うんです。子供たちがたくさん食べられる焼肉屋ってすごく魅力的だし、そこで肉のすばらしさに気づく人がたくさんいれば、肉の世界が広がっていくと思うんです。
――日本全国の焼肉屋がチョイスされていますが、本当にバリエーションが豊かですね。
SHOKICHI 以前は焼肉屋というと、誰でもできるお店みたいな感じがあって。肉を仕入れてお客さんに焼いてもらえばいい、みたいな雰囲気がありました。でも、今はそういう感じじゃなくなっている。猛烈に知識と技術がないとできないジャンルになっています。特に僕のなかではそういう認識が強いですね。
――新陳代謝の早い業界ですよね。街を見ていると、新しい焼肉屋が次々と生まれています。そのなかで、SHOKICHIさんはどうやってお店の情報を収集しているのでしょうか。情報収集術をお聞きしたいです。
SHOKICHI 肉関係の情報はSNSが一番役に立っていますね。新しいお店ができたり、知らなかったお店を知るのは、やっぱりSNSです。焼肉に詳しい方や業界の方のSNSを見ていると、どこのお店で修行していた方が新しいお店を出したのかとかわかるんですよね。でも、これってアンテナ力だと思うんです。
――アンテナ力?
SHOKICHI アンテナが伸びているかどうかってことです。アンテナが伸びていれば自然とピピッと最新情報が受信できると思うんです。常に(情報を)求めていれば、肉に限らず、音楽でも、アニメでも、いろいろな情報が自分に入ってくると思うんですよ。僕はそれをずっと「好奇心」と呼んでいたんだけど、好奇心が強ければ、いつでも、新しい情報とめぐりあえるはずです。肉についても、音楽についても、とにかく僕は流行から遅れたくない。だから、「好奇心」は僕にとってこれからも大事なものだと思っていますね。しかも、そうやってアンテナを立てていると、この本、「肉主義」を読んだ方の反応も見えてくるんですよ。
――そうでしたか、どんな反応がありましたか?
SHOKICHI いや、最初はね、肉について話してばかりいる内容だから「こいつアーティストとして大丈夫か?」と思われるんじゃないかと思ったんですよ。「本業をもっと頑張ってください」みたいな感想が来るんじゃないかって。でも、そういう声はひとつもなかった。自分が調べたかぎりは、そういう反応がひとつもなかったんです。本当にほっとしました。
――SHOKICHIさんの肉への熱い思いが「肉主義」から伝わったのかもしれませんね。
SHOKICHI 僕はすべてに全力であろうと思っているんです。肉についてもものすごく勉強しているつもりだし、肉牛の育て方についても勉強会に出席しています。音楽だって勉強しているし、常に最新の音楽を取り入れているつもり。今回は、そうやってすべてに本気なことをわかってもらえたような気がして、すごくうれしかったですね。
EXILE SHOKICHI「肉主義」
【撮影:後藤利江/取材・文:志田英邦】
■EXILE SHOKICHI 肉主義(ニクイズム)
著:EXILE SHOKICHI
発売日:2023年4月26日(水)
ISBN:9784046061881
定価:1870円(税込)
発行:株式会社KADOKAWA
リンク:EXILE SHOKICHI 肉イズム公式Twitter・@niku_izm
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