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【前編】原作20周年記念「『らき☆すた』オーケストラコンサート~20周年だよ、全員再集合!~」開催特別対談 柊つかさ役・福原香織×柊かがみ役・加藤英美里 

写真左より、柊かがみさん、加藤英美里さん(柊かがみ役)、福原香織さん(柊つかさ役)、柊つかささん


2007年4月~9月に放送されたTVアニメ「らき☆すた」。ベタからシュール、パロディまで多彩なコメディが散りばめられた学園モノで、“日常系アニメ”というジャンルを定着させた金字塔でもある。そんな「らき☆すた」が、原作漫画の連載20周年を記念した音楽イベントを開催。TVアニメの主題歌、劇伴、キャラソンが、なんとオーケストラ編成で演奏されるというから驚きだ。そこで今回は、「らき☆すた」でメインキャラクターを演じた福原香織さん(柊つかさ役)と加藤英美里さん(柊かがみ役)の双子姉妹コンビに登場していただき、収録時の心境やファンの熱狂などについて、オンエアから17年の時を経て振り返ってもらった。インタビュー前編では、アフレコや役作りについての思い出話をどうぞ。


©美水かがみ/らっきー☆ぱらだいす


――福原さんと加藤さんは「らき☆すた」で初共演されたんですよね。第1話のアフレコが初対面ということになりますか?
福原 いえ、アフレコ前に「顔合わせ」があって、それが初対面でしたね。
加藤 そうそう。「らき☆すた」はちょっと特殊で、事前にスタッフとキャストが集まって、決起集会じゃないですけど、「みんなで頑張ろう!」的な場が設けられたんですよね。ああいう作品の入りって初めてだったので、驚きました。
福原 多分その前に放送されていた「涼宮ハルヒの憂鬱」からの流れもあったと思うんですけど、スタッフさんたちがみんな前のめりで、「この作品は絶対に売れる!」って気合いが入りまくっていて、あまりの熱量に圧倒された記憶があります。当時私はまだ20歳で声優歴も2、3年目だったこともあって、状況をうまく把握できず、ひとり「はて?」って(笑)。
加藤 私もまったく同じ(笑)。とにかく大人の皆さんの熱量がすごかったのは今でも覚えています。あそこまでみんなが燃えている現場は「らき☆すた」が最初で最後だったかもしれません(笑)。

――すごい作品だったんですね。アフレコが始まって、役作りや掛け合いの感触という面ではいかがでしたか?
福原 役に対しての解像度が高まったのはOPテーマ「もってけ!セーラーふく」のレコーディングだったと思います。この曲は間奏パートでみんながわちゃわちゃと喋る時間があるんですけど、すべてがアドリブだったので「どんなセリフがいいんだろう?」って一生懸命考えて臨みました。曲もかなり独特じゃないですか。超のつく電波曲というか。
加藤 確かにあんなに早口で歌ったり喋ったりする経験なんて、それまでなかったですね。
福原 そうそう。だからレコーディングしたはいいものの、これでよかったのかどうかも分からなくて、終わったあともしばらく悩んでいた気がします。完成形が想像できなかったんですよね。
加藤 あと最初の本編アフレコですごく覚えているのが、スタジオがすごく広かったことですね。序盤の数話だけ大きなブースで収録していたんですけど、マイクとマイクの間隔がすごく遠くて、みんなの声を聞くのに必死でした。
福原 「らき☆すた」は叫ぶお芝居とかはほとんどないし、そもそも声を張らないから余計にね。
加藤 そうなの。もちろん聞こえないほど遠くはないんですけど、細かいニュアンスをしっかりと聞き取るために、とにかく意識を集中してましたね。
福原 それで言うと、たしか第1話の第一声はつかさだったような気がするんですよね。そこはすごく緊張した覚えがあります。

――映像が観れるので、ちょっと確認してみましょう。(と、第1話の映像を流してみると、第一声はくじらさんの「位置について、よーい!」だった)
福原 あれ?くじらさんだった(笑)
加藤 その次が、タイム計測をしているつかさの「おお〜っ」だ。
福原 これこれ! この「おお〜っ」が緊張したんです。このセリフには私の「いよいよ始まるんだ」っていうドキドキがかなり込められていますね。

――そもそもここまで緩い日常系アニメはあまりなかった時代ですから、テンション感の調整も難しかったのでは?
加藤 私自身こういうタイプの作品は初めてで、ツッコミはとにかくみっちりとディレクションを受けました。
福原 スタッフさんのツッコミへのこだわりがとにかく強かったですよね。英美里はとくに熱心に指導されていた気がする。
加藤 されたよ。どのキャラクターにも熱血指導はあったけど、たぶん私がいちばん多かったと思う。ここのツッコミはもっと声を低くとか、日常会話とのギャップも含めていろいろなことを教えていただきました。
福原 しかも、ほとんどの現場では絵コンテとか原画の状態に声を当てていくんですけど、「らき☆すた」は、アフレコ時にすでにフルカラーのアニメーションが完成していたんですよ。細かい表情まで鮮明に描かれていて、それにも驚きました。監督やプロデューサーといった方々だけでなく、アニメーターの皆さんの熱量も感じて、それにも圧倒されましたね。

――「らき☆すた」がヒットした要因のひとつには、メイン4人の掛け合いの魅力もありました。テンポや呼吸などはどのようにして構築していきましたか?
加藤 かがみはツッコミなので、ボケ担当のこなたにかなり引っ張られていった感覚があります。私自身は不安もあったんですけど、とにかく(平野)綾ちゃんのボケの芝居が本当にうまくて、そこに助けられました。

――こなたのボケのバリエーションが増えていくにつれ、それに連動するようにかがみのツッコミも冴え渡っていったんですね。
加藤 綾ちゃんがだんだんと遊び始めたんですよね(笑)。私としては、どんなに家でお芝居のプランを練ったとしても掛け合いではまったくプラン通りにはいかないんですよ。だから途中からはほぼノープランで、かがみとしてのベースだけを持っていって、あとは現場でみんなと臨機応変に作っていく感覚でした。あとはアドリブも多い現場でしたよね。みんなそれぞれアドリブセリフをメモして、本番前に見せ合ったりして。「こんな感じでいこうと思うんだけど」って言ったら「オッケー。じゃあなんか返すね」とか。とくにつかさはアドリブが多かったよね?
福原 多かった。しかも事前に「ここはアドリブでお願い」とか、そういうことを言われるわけじゃないんです。でも絵が完成しているから、明らかに口は動いているのに台本には何も書いていないっていうシーンがたくさんあって(笑)。要はスタッフさんからの無言のパスなんですよね。

――アドリブセリフはどうやって作っていたんですか?
福原 私の場合はふとした時に思いついたセリフをメモしてストックしていました。事前にこのシーンにはこれを言おうと考えて持っていっても、誰がどんな風に繋いで私に回ってくるかは分からないので、手札だけは揃えておいて、あとは当日の流れに身をまかせる感じでしたね。

――アドリブでとくに手応えを感じたシーンはありますか?
福原 やっぱり第5話の「バルサミコ酢」ですね。あのシーンはとくにアドリブを入れる予定はなかったんですけど、くじらさんのテレビから流れてくる声がけっこう遊んでいて。
加藤 バルサミコ「す〜」って伸ばして強調してたんですよね。
福原 そうなの。それで、これは拾ったら面白いかもと思って、ふっと自然に出たセリフなんです。そしたらスタッフさんも面白がってくれて、オンエアでも採用してくれて。

――くじらさんの遊びに乗っかった形なんですね。
福原 そうですね。くじらさんのあの芝居がなければ、あのアドリブも生まれていなかったと思います。視聴者のみなさんにもすごく気に入っていただけて、結果的にはつかさの代名詞的なワードになりました。それからしばらくのあいだは、ファンの方から事務所にバルサミコ酢がよく送られてきました(笑)。私がバルサミコ酢を好きなわけじゃないんですけどね(笑)。
加藤 こうやって振り返ってみると、私たち4人だけでなく、本当にみんなで作り上げた作品だったんだなとしみじみ感じます。

――加藤さんが印象深いシーンはありますか?
加藤 OP冒頭の「まともに始めなさいよ!」は今でも印象に残っています。かがみとしての最初のツッコミでもあったので、めちゃめちゃこだわって収録したんですよね。逆にすごく苦労したなって覚えているのは第13話で、かがみがバレンタインチョコを男子生徒に渡すシーンです。
福原 こなたの妄想シーンね(笑)。
加藤 そうそう。現実ではないんですけど、でもこれまでのかがみにはない”デレ”を出さなくちゃいけなくて、これが私のなかでは難しかったですね。でもこのシーンを「普段とギャップがあって好き」と言ってくださるファンの方も多くて、あのとき苦労した甲斐があったなと思いますね。

――ありがとうございました。では後編に続きます。


オーケストラコンサートで待っているよ!


【文・構成:岡本大介】

■原作20周年記念「『らき☆すた』オーケストラコンサート 〜20周年だよ、全員再集合!〜」
☆日時:'24年2月4日(日)
1st   開場13:00 開演13:45(終演15:45ごろ予定)
2nd  開場16:30 開演17:15(終演19:15ごろ予定)

☆場所:久喜総合文化会館 大ホール
(〒346-0022 埼玉県久喜市下早見140番地)

☆出演
管弦楽:らっきー☆すたーオーケストラ a.k.a Heartbeat Symphony 
混声合唱団=Nova Anima from ChoieL
司会:今野宏美(小神あきら 役)、白石 稔(白石みのる役)
ゲスト:福原香織(柊つかさ 役)、神前 暁(作曲家)
※出演者は変更になる場合もあります

☆会場チケット情報
◆VIPチケット(特典+前方席優先)18,000円(税込)
◆特典付プレミアムチケット 12,400円(税込)
◆通常チケット 8,800円(税込)

【現在一般発売中!】
受付URL:https://w.pia.jp/t/luckystar-concert/
※詳細は受付サイトにてご確認ください。

☆配信チケット情報
▼特典グッズ付き配信チケット:8,000円(税込)
▼通常配信チケット:4,400円(税込)
※別途手数料がかかります。

◇配信チケット販売
2024年1月12日(金)~2024年2月11日(日)21:00

◇アーカイブ視聴期間
2024年2月4日(日)各公演終了後~2月11日(日)23:59
※公演終了後、アーカイブ視聴開始までに処理でお時間をいただく場合がございます。

□「ニコニコ生放送」で視聴する場合
受付ページ→https://dwango-ticket.jp/project/Yxl1ks6TMC

□「PIA LIVE STREAM」で視聴する場合
受付ページ→https://w.pia.jp/t/luckystar-concert-film/

<チケット特典情報>
【1st(昼の部)特典】オリジナルトートバッグ
【2nd(夜の部)特典】オリジナルTシャツ(ブラックver)
※特典グッズ付き配信チケットは数に限りがございます。予定枚数に達した時点で受付を終了する場合がございます。

▼その他会場限定販売グッズや、キャンペーンの詳細は公式HP、または公式Xをご確認下さい。

リンク:「らき☆すた」オフィシャルサイト
    公式X(Twitter)・@AnimeLuckystar

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