舞台

スパイたちによる会話劇とアクション! 舞台『ジョーカー・ゲームⅢ』田崎役・橋本真一&甘利役・梶田拓希 対談

柳広司氏による傑作短編ミステリー・スパイ小説シリーズを原案とした舞台『ジョーカー・ゲームⅢ』が、2025年11月21日(金)〜11月30日(日)、東京・天王洲 銀河劇場にて上演されます。同シリーズは2016年にProduction I.GによってTVアニメ化もされており、知的かつスタイリッシュなスパイアクションアニメとして好評を博し、舞台版もこれまでに2作品が展開されてきました。

そして今回、実に7年ぶりとなる待望の第3弾公演が決定! 表題作であり2017年の初演でも上演したシリーズの原点「ジョーカー・ゲーム」に加え、舞台版初となる完全オリジナルエピソードが繰り広げられます。また今作では神永役の本田礼生さんをはじめ、“D機関員”に新たなキャストを迎えることも発表されました。WebNewtypeでは公演に先立ち、田崎役の橋本真一さん、甘利役の梶田拓希さんの対談をお届けします。



——まずは、舞台の脚本を読まれた第一印象からお聞かせください。
梶田 読み応えがありました、本当に。さっきも取材前に真一くんと、脚本を読んだけどすごく難しいねって話していたところなんです。
橋本 一回読んだだけじゃ、なかなか理解できないよね。スパイならではの駆け引きもあるし、一筋縄ではいかないストーリ展開で、すっかり騙されました(笑)。何より作品の時代背景をしっかりと勉強したうえで、当時を生きた人々の感覚といったものをつかまないといけないなと改めて思いましたね。
梶田 セリフにしても、世界大戦の火種がくすぶる昭和初期が舞台ということで、今聞くとドキッとするようなものもありますよね。当時の時代背景が生んだ思想や対立もあるし、さまざまな視点や、考え方をもったうえでお芝居しないといけないなと思っています。
橋本 そうなんだよね。キャスト自身が物語を深く理解していないと作品として破綻するし、セリフひとつとっても、芯の部分がお客さんにも届かないだろうなと思います。あと騙し合いという意味では、初見の方はもちろんですし、2回目以降もさらに楽しんでいただけるようにしなきゃなと。すでに結末を知っている分、「この場面でこう言っているけど本心は違うんだよね」とセリフの裏も読める状態で見ていただくことになるので、演じるうえではまた違った難しさがあるんですよね。初めて見る方には「これは100パーセント、純粋に本心からの言葉なんだな」と思ってもらうのがいいけれど、2回目以降はほんの1パーセント、噓をついていると感じてもらえる表現をめざしていきたいです。
梶田 スパイとして生きる彼らは、常にお芝居しているようなところがありますもんね。アニメにも自白剤が登場しましたけど、深層にあるものは出さずに、表層部分こそ秘密や真実であると相手に思い込ませるといったスパイならではの芝居だなって。彼らを演じるうえで、僕も公演ごとに記憶をリセットするような気持ちで挑みたいというか、どこまでリアルに近づけられるのか? どう表現していくのか? と、甘利役としてお芝居を組み立てていくのが楽しみです。


田崎役 橋本真一さん


——第1弾、2弾に引き続き、脚本・演出を西田大輔さんが手がけられます。
橋本 僕と拓希は昨年、西田さんとご一緒させていただいたんですが、そこでも印象的な演出が散りばめられていて。カッコいいなと思いましたし、今作でも西田さんらしいトリッキーで粋な演出を楽しみにしています。
梶田 西田さんは「なんかカッケーじゃん?」って言いながら演出をつけるんですよ。僕はその作品でしかご一緒したことがないんですけど、役者仲間に聞いたら、どの現場でもそうみたいで(笑)。真一くんも言っていたトリッキーで粋な演出は、「とにかくこれがカッコいいんだ!」という西田節によって生み出されていくので、今回もその現場に立ち会えるのがうれしいです。
橋本 あとは舞台『ジョーカー・ゲーム』シリーズならではというか、いわゆる2.5次元作品でありながら、ストレートの作品に近い役作りやお芝居の仕方になってくるんじゃないかなと思っています。第3弾の脚本も、アニメでは描かれていないシーンがあって、僕らキャストもそうですけど、西田さん自身の演出もまたちょっと変わってくるのかなと思いますし、今からワクワクしています。

——ご共演経験があるとのお話も出ましたが、お互いの配役の印象はいかがですか?
梶田 アニメでの田崎の戦い方や、スパイとしての振る舞いを見ていると、やっぱり二面性があるんだなと思っていて。真一くんも、いい意味で二面性がある印象なんですよね。
橋本 そうなの?(笑)
梶田 真一くんは後輩の僕にもやさしいんですけど、笑顔の裏ですっごく深く物事を考えている人だなと思います。そういうところに田崎っぽさ、スパイっぽさが垣間見えるというか、ぴったりのキャスティングだなって感じるんですよね。
橋本 僕から見た拓希は、若くてカッコいいだけじゃなく、独特の色気を持っている印象です。甘利は神永と同じく“D機関”の最年長ポジションなので、キャストのなかで最年少である拓希が配役されていると知って、最初はちょっとしたギャップもあったんです。でもアニメの話数が進んでいくうちに、ふたりに共通する色気のみたいなものを感じるようになりました。
梶田 えっ、ほんとですか!?
橋本 アニメでも原案の小説でも、甘利って大人の男として描かれているけど、渋い色気ではないじゃない? ちょっと甘かったり、爽やかなテイストも感じるから、拓希にぴったりなんじゃないかな。田崎役としても、甘利がどんなお芝居でくるのか楽しみです。
梶田 うわあ、めちゃくちゃうれしいです! 僕自身、甘利役のお話をいただいた時に、実年齢とのバランスみたいなものは心配な部分もあったんです。以前ほかの作品で最年長の役を演じたときも、プライベートから意識してつくりながら挑んでいて、一朝一夕ではいかないことはわかっていたので。今回キャスト最年少ではありますけど、稽古場でもできるだけフラットに、みんなと肩を並べにいくんだという気持ちで頑張っていきたいなと思っています。


甘利役 梶田拓希さん


——キャストには神永役の本田礼生さんをはじめ、個性豊かな面々がそろっています。
橋本 三好役の矢田悠祐、小田切役の塩田康平みたいに13 、14年来の付き合いになる顔ぶれもいる一方で、初めてご一緒する方も沢山いらっしゃるので楽しみですね。
梶田 僕、佐久間中尉役の蒼木陣さんが大好きで、またご一緒できるのをすごくうれしく思っています。陣さんってアクションだったり、鮮やかで派手さのあるお芝居も印象的だなと思うんですが、舞台『ジョーカー・ゲーム』シリーズではどんな姿が見られるんだろうってドキドキしています。

——第1弾、2弾のキャスト陣が、回替わりゲストとして登壇されるのも話題です。梶田さんは、神永を演じた才川コージさんと筋トレ仲間だと伺いました。
梶田 それこそ昨日も、格闘技のトレーニングを一緒にやってきたところです。もう一生、筋トレしてます(笑)。
橋本 去年共演したときは、そこまで筋肉なかったよね!?
梶田 当時はまだ筋トレを始めたぐらいのタイミングだったんです。最近は「ロナウドみたいな身体にしよう」って言いながら、毎日休まず鍛えてます!
橋本 僕がコージと共演したのは、ボクシング漫画の舞台化だったんだけど、その時もずっと筋トレしてたなあ(笑)。懐かしいといえば、甘利を演じた山本一慶とは、スパイが活躍する作品でバディを組んでいたこともあって。今回またこうして別のスパイとして舞台上で会えるのがうれしいですね。

——最後に、公演を心待ちにしている読者へメッセージをお願いします。
橋本 さきほども少しふれましたが、第3弾の脚本は今作で新たに描かれるシーンや台詞が多く、アニメや原案小説の田崎をベースに、自分なりに広げていかないといけないなと思っています。同時に台詞の裏にある真実、騙し合いを仕掛ける彼らの頭のなかを自分のものにしないと、お話の中身が空白になってしまう……との思いもあります。これからみんなでしっかり詰めていきながら、会話劇としてもおもしろいなと感じてもらえるように作っていきますので、応援のほどよろしくお願いします。
梶田 真一くんが会話劇の話をしてくれたので、僕はアクションについての抱負を語りたいと思います。西田さんの演出って、『ジョーカー・ゲーム』という作品が持つアクションの要素との相性がめちゃくちゃいいなと感じていて。僕も肉体派として、身体をはって頑張ります! お客さまには見るもの、聞くものすべて疑っていただきながら(笑)、楽しんでいただけたらうれしいです。



【取材・文:藤谷燈子】

■舞台『ジョーカー・ゲームⅢ』
2025年11月21日(金)~11月30日(日) 天王洲 銀河劇場
WEB:https://www.marv.jp/special/jg-stage/
公式X:@jg_stage
公式Instagram:jgstage

チケット一般発売中!
チケット:https://l-tike.com/jg-stage/

原作:TVアニメ『ジョーカー・ゲーム』 
原案:柳広司「ジョーカー・ゲーム」シリーズ(角川文庫刊) 
脚本・演出:西田大輔 

出演:本田礼生 橋本真一 梶田拓希 土屋直武 塩田康平 野口 準 速川大弥 蒼木 陣/山岸拓生 ウラシマ 林田航平/矢田悠祐/谷口賢志

アンサンブル:赤石ノブ 後藤裕磨 関 修人 石井 凌 木ノ花大空矢 成尾征吾 土屋 暖
アンダースタディ:大津夕陽

回替わりゲスト出演:鈴木勝吾 山本一慶 木戸邑弥 奥谷知弘 松本 岳 才川コージ 阿部快征 大海将一郎 君沢ユウキ

(C)柳広司・KADOKAWA/JOKER GAME ANIMATION PROJECT 
(C)JOKER GAME THE STAGE PROJECT

この記事をシェアする!

スパイたちによる会話劇とアクション! 舞台『ジョーカー・ゲームⅢ』田崎役・橋本真一&甘利役・梶田拓希 対談(画像1/0

MAGAZINES

雑誌
ニュータイプ 2025年11月号
月刊ニュータイプ
2025年11月号
2025年10月09日 発売
詳細はこちら

TWITTER

ニュータイプ編集部/WebNewtype
  • HOME /
  • レポート /
  • 舞台 /
  • スパイたちによる会話劇とアクション! 舞台『ジョーカー・ゲームⅢ』田崎役・橋本真一&甘利役・梶田拓希 対談 /