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横のつながりがあるようでない世界――Creators Dialogue 2024 福士裕一郎×梅原翔太 対談

写真左より福士裕一郎さん、梅原翔太さん


アニメーション現場における各セクションのクリエイターが対峙し、現状について話し合う「Creators Dialogue 2024」。現在発売中のニュータイプ6月号ではアニメスタジオのプロデューサーであるマッドハウス・福士裕一郎さんとCloverWorks・梅原翔太さんの対談を掲載。1万字近くに及ぶ記事の中から最初の部分をお届けします。


ニュータイプ2024年6月号より


──基本的なことの確認から入ってしまいますが、お2人の年齢は?
梅原 俺、今、37歳です。
福士 今年で45歳になります。
梅原 ……本当に俺がお相手でよかったんですか? もっと年の近い、すごいお仕事をされている制作の人がいたんじゃ……。
福士 いやいや。むしろ自分は浅い仕事しかやってきてないので、きょうは梅原さんのお話を聞きたくてこの場に来てしまった、みたいな気持ちですよ。
梅原 「浅い仕事」(笑)!?

──すごいキャリアをおもちで、直近でも「葬送のフリーレン」を2クール完走されたばかりの方が何を……ですよね(笑)。
梅原 ホントですよ。おっしゃるとおり。
福士 ありがとうございます。そもそも制作の仕事についてほかの人と語り合う機会がそうそうないですからね。それこそ10何年前に、福島(祐一)くんと野方の村さ来でやっていたとき以来で。
梅原 そんなことをやってたんですね。うらやましい。

──ちなみにその福島さんから、「制作の対談をするなら、今、いちばんおもしろい組み合わせはこの2人でしょ!」とご推薦をいただいて、この形になりました。
福士 共通してお仕事を頼んでいるスタッフもいますしね。

──しかしさきほどからのようすを見ると、もしかして会話されるのは初めてですか?
福士 そうです。
梅原 電話で1、2回ぐらい、短いやりとりをさせていただいたくらいですよね。そもそも俺、基本的にあまりほかの制作とやりとりをしませんし。

──外から見ていると制作の方は横のつながりが強い印象なので意外です。福士さんもですか?
福士 自分も制作進行時代につきものがあった人とのやりとりをそのまま続けている……みたいな関係が多いですね。そんなに横のつながりがあるわけでは。でも、そんな自分から見ても、梅原さんは特に孤高の存在というか。ただ、エニシヤの五十嵐慶さんとかは、わりと世代が近くて、やりとりがあるんじゃないですか?
梅原 そうですね。五十嵐くんのほうがちょっと年上で、やりとりはあります。俺、社内の制作の子とすら、飯に行ったりしませんからね……楽しいですか? 制作とご飯に行って。
福士 う、うん……(笑)。自分はわりと行きたい人としか行ってないので、そういう意味では、行って楽しくなかったことは、あまりないですね。
梅原 そうなんですね。考えてみれば、俺、福士さんや福島さんの世代みたいに、あまり同世代……というか、同じ時期に、同じ場所でいっしょに仕事をしていた人がいないんですよ。だから横のつながりがあんまりないのかもしれないです。ちょうど空洞の世代なのかなぁ。
福士 その分、めっちゃ目立ってた印象がありますよ。
梅原 上の世代だと福士さん、福島さん、それからゼクシズの新宅潔さんとか。そういう自分が制作進行になりたてのころから活躍されてて、周りから注目されている制作の方々がたくさんいたんですよね。でも、言われてみれば自分の世代にはあまりいなかったかも……。なぜなんでしょうね。

──むしろ梅原さんの存在に刺激を受けて、目標にしている下の世代の制作の方が多い印象を受けます。
福士 わかります。
梅原 ありがたいことに、最近、そう言っていただけてるみたいですね。でも前に、某スタジオの入社面接で「梅原さんみたいになりたくて」と言ったら、「いやー、あいつみたいにならないほうがいいよ」と返されたという人と話したことがあって(笑)。
福士 あっはっは。
梅原 外からはよさそうに見えるけど、アニメ業界のなかからは別に、俺みたいになってほしいとは思われてないと感じますけどね。


続きが気になるこの後の話は、発売中のニュータイプ2024年5月号にて完全版を掲載。かなり白熱したトークが繰り広げられました。どうぞご覧ください。

【撮影:大川晋児/取材・文:前田久】

●ふくし・ゆういちろう/'79年生まれ、マッドハウス所属。GONZOを経て現在の所属先へ。主なプロデュース作品に「葬送のフリーレン」「Sonny Boy」「ワンパンマン」「ACCA13区監察課」ほか

●うめはら・しょうた/'87年生まれ、CloverWorks所属。動画工房を経て現在の所属先へ。主なプロデュース作品に「ぼっち・ざ・ろっく!」「ワンダーエッグ・プライオリティ」「その着せ替え人形は恋をする」ほか

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