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サイボーグ戦士たちによる圧巻の舞台、再びの幕開け!——「サイボーグ009 -13番目の追跡者-」先行体験製作発表レポート

1年ぶりに再集合したサイボーグ戦士たち


2024年5月、誕生60周年を記念して初の舞台化を果たした石ノ森章太郎によるSF漫画の金字塔「サイボーグ009」。漫画から飛び出してきたかのようなサイボーグ戦士たちとブラック・ゴーストの戦いは、大きな熱狂をもって迎えられました。そんな彼らが、この秋、再び舞台に帰ってきます。第二弾となるタイトルは「サイボーグ009 -13番目の追跡者-」。出演する役者陣が総登場しアフターイベントの「ヒーローカーテンコール」をイメージしたパフォーマンスを繰り広げ、舞台版ならではのさらなる進化を期待させた製作発表の模様をレポートします!


スカール役=中塚皓平


ぬらりと不気味な空気をまとった仮面の男・スカール(中塚皓平)が黒いマントを翻して壇上に現れると、指令を受けたブラック・ゴーストたち(BG SOLDIERS)が劇場に招かれていた宣伝特派員をひとり、またひとりとさらっていきます。


009/島村ジョー役=七海ひろき


そこへ、まぶしい光を放って登場する009/島村ジョー(七海ひろき)! おなじみの赤いスーツに黄色のスカーフをたなびかせたサイボーグ戦士たちが続々と駆けつけ、人質を救い出すとともに、それぞれの特殊能力で敵を制していくアクロバティックな戦い、そしてヒップホップな舞台版のメインテーマを歌い踊る姿は公演の前哨戦とでもいうべき迫力で劇場を沸き立たせました。


演出=植木 豪


「ヒーローショーのように行うカーテンコールは世界初の試みではないかと思います」と、冒頭のパフォーマンスがそれをイメージしたものであったことを解説するのは、まだ熱気の残る舞台上に登壇した演出の植木 豪。「原作は小学生のころから大好きで、サイボーグ戦士たちのさまざまな能力に胸を躍らせてきました。前作同様、プロジェクションマッピングを始めとした最新技術に役者とダンサーのフィジカルをミックスしながら、客席に飛び込んでのアクションなど新たにステラボールという劇場を活かした演出で立体感のある見せ方をしたいと考えています」と構想を語る。さらに役者陣に対しても「0012、0013とも演出が大変なキャラクターですが、いい案を思いつきました。とてもすてきなお芝居をされるお2人によって、さらに熱いステージになる予感がしています。また、前作から続投になるサイボーグ戦士たちはあれからさまざまな舞台で活躍しているので、それをさらなる武器として、再びディスカッションしながらつくっていきたいです」と期待を寄せました。


登壇する役者陣


続いて、今作に出演する全役者陣が登壇。七海は「前作と同じメンバーで第二弾ができることが本当にうれしいですし、応援してくださる皆さんのおかげだと心から感謝しています。今日、この場にはいないのですが天華えまさんも前作同様001/イワン・ウイスキー役としてかわいい声を出してくれるので、楽しみにしていてください。前作も熱かったのですが、さらに熱い舞台をお届けできるように頑張ります!」と、続演の喜びを伝えた。それに続き、挨拶していく役者陣。アイザック・ギルモア役の大高洋夫の「まさか翌年にできるとは、よっぽどみんなひまだったんでしょうね」という冗談を真に受けたかのように「皆さんはひまじゃないです……!」と一瞬あせった七海だったが、実際のところ大活躍しているメンバーがこれだけ早く集まれることは〝奇跡〟だと告げ「新たに0012と0013を迎えて戦っていくなかで、いろいろな深い話、切ない話が描かれると思います。石ノ森章太郎先生のすばらしい原作をリスペクトしながら、舞台ならではの「009」を脚本の亀田真二郎さん、演出の植木さん、そしてBG SOLDIERSのみなさんと一緒に作っていきたいなと思っているので、ぜひ楽しみにしていてください」と締めくくりました。


その後、マスコミ向けに会見が行われました。最初に、自身が感じる舞台版ならではの魅力を問われた植木は製作発表会でも証明したビジュアル、パフォーマンス面に加え「ストーリーがもつ深さ」を挙げます。「少年漫画ながらどうしてこんな深いものが描かれたのだろうと思っていたところが、まさに現代の地球で起こっているストーリーとすごくシンクロするんです。脚本の亀田さんがそのように感じられた上で書かれている深みのあるストーリーが、原作と新しい舞台の融合を生み出していると思います」。そして、そんな物語へと飛び込んでいく役者陣の熱い思いが語られていきます。


(左)音波みのり、(右)七海ひろき


「前作では、戦いを好まない島村ジョーがみんなを守るために、世界を平和にするために立ち上がっていく気持ちの変化が描かれました。0010のシキとリクからもらった気持ちを大切に、その先のストーリーに進んでいけるよう、またジョーにどんな心の成長があるのかを楽しんでいきたいです」(009/島村ジョー役=七海ひろき)


高橋駿一


「僕たち自身のリアルな時間経過も合わせてチームワークがかなり強くなったところをステージで表現しながら、ジェット・リンクの成長を見せられたらいいなと思います。ステージ上で一番飛び回るキャラクターになりたいですね!」(002/ジェット・リンク役=高橋駿一)


音波みのり


「フランソワーズは一番身体がサイボーグになっていないので、前作でも、他の戦士のみなさんに助けていただきながら『私はどうして戦わなければいけないの?』という疑問の中で戦っていました。その『なぜ』というところを、さらに深めて演じていきたいです」(003/フランソワーズ・アルヌール役=音波みのり)


(左)里中将道、(右)音波みのり


「初演では彼の過去と葛藤に向き合い、その心の奥にある思いをしっかり探りながら演じました。さらに掘り下げ、新しい解釈と新しいエネルギーを加えながら、より立体的に、クールで熱いハインリヒを届けたいです」(004/アルベルト・ハインリヒ役=里中将道)


桜庭大翔


「第二弾へ向けてスーツが改良されているので、前回以上に動けそうです。この1年で、プロレスデビューを果たしていろいろなことができるようになったので、それがどうジェロニモという役に活かされていくか僕自身も楽しみにしています」(005/ジェロニモ・ジュニア役=桜庭大翔)


酒井敏也


「第二弾のお話をいただいたときは〝謝謝〟と思いました。張々湖はムードメーカーなので、今回のチームでもブラック・ゴースト(BG SOLDIERS)のKENTAくんといっしょに盛り上げていきます」(006/張々湖役=酒井敏也)


川原一馬


「前作では、張々湖さんといっしょにシリアスな世界観の空気を和らげるポジションに居させていただきました。引き続き、緩和剤になれるようなところをを担えたらいいなと思っています」(007/グレート・ブリテン役=川原一馬)


Toyotaka


「前作では、一生懸命、真っすぐに頑張った結果、あっという間に時間が過ぎてしまいました。今作は、もっと噛み締めながらステージに立ちたいです」(008/ピュンマ役=Toyotaka)


中塚皓平


「再びこのマントをまとえて、とても嬉しいです。悪役として、力や圧だけではなく品を大事にし、しっかりと皆さまを倒したいと思います」(スカール役=スカール:中塚皓平)


(左)Toyotaka、(右)大高洋夫


「前回のカーテンコールで、パイプの煙を見せたくて龍角散を吹いていました。これは同じパイプなのですが、まだかおりが中に残っているようです。今回も吹こうかなと思っています」(アイザック・ギルモア役=大高洋夫)


また今作でサイボーグ戦士たちの前に立ちふさがる強敵を演じる2人の姿も、キービジュアルの発表と同時に大きな注目を集めています。


野々花ひまり


「個人的には、宝塚歌劇団を卒業して初めての舞台です。宝塚で演じていたころの役とはまた全然違う自分に出会えるのではないかとワクワクしながら、今はまだこの見た目に慣れなくて鏡を見るたびに驚いています。0012は冷酷さや静けさの中に悲しみ、葛藤があるので、その二面性をていねいに演じたいです。お稽古場の空気感などを大切にしながら、初めてごいっしょする皆さんにしっかりついていけるように頑張ります」(0012役=野々花ひまり)


後藤 大


「僕もこの見た目に負けないように、お芝居で自分なりの0013を見せられたらなと思っております。役としては〝少年〟と〝ロボット〟を演じるので、豪さんの演出の中でそれがどう表現されるのか、サイボーグ戦士たちとどう戦っていくことになるのか本当に楽しみです」(0013役=後藤 大)


BG SOLDIERSが先んじて立ち位置や動きをつくり上げてくれていて、動きに関してはそれを写す形で覚えたため「考える時間、役を深める時間をたくさんいただけたぜいたくな稽古だった」と、前作を振り返る七海。そんなふうに役者自身の持ち味を発揮させるべく手腕を振るった植木だが、なんとSNSで拡散されたカーテンコールの映像を家で見ながら涙したという。「七海さんは、最初、もっと厳しい方かなと思っていましたが、実際はすごく優しくて、みんなを愛の力で引っ張っていってくださるような方でした。こんなに本気で舞台に臨んでくれる役者の方がいて幸せだなと思いましたし、本当にお客さんのことを愛していることが伝わってくるカーテンコールで『これこそ、まさに島村ジョーだ』と感じたんです」。記者から「この座組でやりたいこと」を聞かれた際「みんなで花いちもんめでもする?」と答え、一瞬にして劇場にあたたかな空気を呼び込んだのもそんな座長のなせる技かもしれません。

ちなみに、ヒーローカーテンコールで舞台に上がる観客はランダムで選ばれるそう。もしその人が作品への愛をもってサイボーグ戦士を彷彿とさせる格好をしていた場合……「いっしょに戦ってもらうかもしれない」と、植木。果たして、どんな公演が待ち受けるのでしょうか? 役者陣も期待に胸をふくらませるなか、会見は終了しました。

【取材・文 キツカワトモ】


舞台「サイボーグ009 -13番目の追跡者–」

公演期間:2025年11月14日(金)~ 11月24日(月・祝)
劇場:品川プリンス ステラボール
原作:石ノ森章太郎
演出:植木 豪
脚本:亀田真二郎
料金:
全席指定
平日公演 12,500円/土日祝公演 13,500円(全席指定/税込)
サイドシート
平日公演:10,000円(税込)
土日祝公演:11,000円(税込)

※未就学児入場不可
※サイドシートは、舞台・映像・演出が一部見えづらいお席となります。ご了承ください。
当日の座席変更・返金対応など一切行えません。予めご了承いただいたお客様のみご購入ください。
※一般発売(先着)は2025年9月20日(土)10:00~
※石ノ森章太郎の「ノ」の字は、約60%縮小が正式表記。

出演
009/島村ジョー:七海ひろき

002/ジェット・リンク:高橋駿一
003/フランソワーズ・アルヌール:音波みのり
004/アルベルト・ハインリヒ:里中将道
005/ジェロニモ・ジュニア:桜庭大翔
006/張々湖:酒井敏也
007/グレート・ブリテン:川原一馬
008/ピュンマ:Toyotaka

スカール:中塚皓平
0012:野々花ひまり
0013:後藤 大

アイザック・ギルモア:大高洋夫

BG SOLDIERS:HILOMU Dolton KENTA GeN 加藤貴彦 神谷亮太 佐久本歩夢 石田 創

舞台公式サイト
舞台公式X
舞台公式ハッシュタグ:#舞台009
舞台公式Youtubeチャンネル
主催:舞台「サイボーグ009」製作委員会

©石森プロ©舞台「サイボーグ009」製作委員会

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